天職(2)

みなさんこんにちは。校長の高野です。

ここにも天職をやっている人がいます。戸田友介さんは豊田市から委託されたプロジェクトの責任者として旭地区に移住しました。当初は有機野菜の生産と販売でおカネを稼ぐことを事業の目標にしていましたが、思ったようにはすすまず、プロジェクト崩壊の危機をへて、地域を支えることで地域に暮らすことを目標にすえ旭地区のファンを増やす事業を行ってきました。田んぼでのコメづくりやダイズづくりを都会の人に来てもらってトラストで行っています。

そしてこのたび、高齢のためにやめるという新聞販売店の事業を引き継ぐということになりました(地域の新聞販売店がなくなれば、新聞は郵便でお昼にしか届かなくなるのです)。新聞販売店が戸田さんの天職というわけではありません。彼の天職とは多くのスタッフとさまざまな仕事をシェアする体制をつくりだすということでしょう。そのことで彼はこの地が暮らしつづけるに値するものであるという価値をつくりだしているのではないでしょうか。

長いですが以下に戸田さんのfacebookへの投稿を引用します。8月8日のミライの職業訓練校の初日には戸田さんの話もナマで聞けます。ぜひどうぞ

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【山里の新聞屋さん】

やっと落ち着いてきました。実は5月1日から、旭地区の一部と小原地区全域の新聞販売店を引き受けることになり、毎日皆さんの元へ中日新聞をはじめ、各紙、スポーツ紙、雑誌などのお届けをしています。

昨年の10月、一本の電話がありました「旭のなかで唯一ある新聞販売店がご高齢でやめるかもしれない。誰か引き継いでやってくれる人はいないだろうか。」 と。1ヶ月ほどいろいろな人に声をかけてはみましたが、そう簡単に引き受け手は見つからない。このままだと、昔のように朝刊が全部郵送で昼過ぎに届くよう になってしまうかもしれない。

地域の情報インフラのひとつであり、地域に残る業種のひとつであり、見守りネットワークのひとつでもある。「誰もやらないなら、自分で引き受けよう。仕事 もみんなで分け合えばできるはず。」と、11月12月と、中日新聞の方と打ち合わせと面談を繰り返し、最後は嫁さんも同席して決めました。打ち合わせの中 で、隣の小原地区もあわせてやってほしいとのことで、いつものことだけど、案外「決断!」という感じでもなく自然とそうなりました(笑)

新聞販売店の経験は今までにないし、人とお金の工面を3ヶ月程度でしていかないといけない。新聞を取り巻く課題は今も将来に渡ってもいくつもある。新聞配達を今まで通りを続けていて、安泰なことはない。
でもそれは、この時代を、この日本で、この地域で、家族と一緒に、仲間たちと一緒に生きていくも結局同じこと、柔軟に変化しながら、カタチづくってミライへ引き渡していくことはかわらない。

課題を乗り越えながら事業を引き継いだ上で、全国の地域密着で地域に貢献している新聞販売店の事例も勉強しながら地域に愛される新聞販売店でいられるといいなと思う。

という感じで、11月に開業趣旨を書いて、いろいろ挨拶まわりからはじまりました。

完全に引き継ぎをして、3ヶ月ほど。引き継ぎ期間からいれると、3月から5ヶ月間、毎日2時に起きてお店にむかい、3時に新聞が届いて、配達できるように チラシをいれて、仕分けをして、配達できるようにする、日によって配達もする。日中はチラシを組んだり、事務の仕事もある。  という話をすると、大変 だぁぁぁぁということになるんだけど、ひとりでやっているわけではなく、今まで配達や集金をしてくれていた人、新しく配達やチラシの折り込み、事務の仕事 を引き受けてくれた人、総勢35人ほどのスタッフで少しずつ分担しながらの毎日です。引き継ぎから当初覚えていくまでは、2重3重の時間が必要だったので 大変だったし、ぼくはもう少しの期間、朝はお休みできないけどね。

そう、様々な人がはたらいている。地域で産まれ育って地域のこともしっかりやりながら毎日朝から晩まではたらいている人、35年も前に先駆的に移住してさ まざまな仕事をこなし暮らしをつくってきた人、夫婦仲良く配達をする人、高齢では考えられない屈強な足腰で毎日走りながら配達をする人、年を重ねながらも ゆっくりと家の近所を歩いて配達をする人、お子さんたちは自立して朝の時間に配達ができる女性、コミュニケーションは少し苦手だけどどこでも覚えて配達が できる人、障碍をもっていてフォローがあれば配達できる人、朝は配達で稼いで昼は野良仕事をする人、毎日配達をする人、週1,2回配達をする人、出勤前に 配達する人、集金のみを丁寧にまわってくれる人、早朝だからできる、昼だからできる、子どもの送り迎えの間ならできる、子連れでチラシの折り込みや事務を する:ぼくもだけど(笑)。

若者から年配のかた、男性、女性にかかわらず、自分のできるペースで、自分のあうポジションを、家族の体調が悪くなれば他の人がカバーすることもある、自 分の都合だけで独りよがりにならずに、読んでくれる購読者の人、他のスタッフのことを考えて、うごく、素敵な人たちがはたらいてくれています。

「新聞」という、旧い媒体が(言い方は悪いですが変化は必要という意味で)、「新しい」情報インフラになるとすれば、「つながり」をベースにして、地域に 住み続ける人が「はたらく」ことの中にヒントがあるような気がしています。これは何も新しいことではなく、昔から山里で続けてきて今も残っている「ありか た」。

ぼくの山里の新聞屋さんとしてのシゴトは、この「ありかた」を関わる人すべてが大切に思える雰囲気をつくること、気持ちよく分け合える、ここにいられる関 係性を購読者のみなさんとスタッフのみなさん、各新聞社や折込広告をだしてくれるかたなど、多くのみなさんと紡いでいくことの2点かなと思います。

山里の新聞屋さん以外は、今まで通り、田んぼや畑、さまざまな企画や、合唱団や、地域の役割や、家のこと(第3子が産まれて6月からはウエイト大)をして います。だから、本業な何かと聞かれても、今まで通り、全部大切なシゴトです(笑)そして、具体的にやっていることは単純な作業の積み重ねです。
だけども、すべてが重なり合っているので、ひとつひとつを切り離して考えることができないと言ってもいいかもしれません。

あえていうならば、今までも、今も、これからも常に柔軟に変化し続けながら、分け合ったり、重なり合ったり、そういう「ありかた」「関係性」「生きかた」を紡いでいくことをシゴトにしていきたいなと思います。

今日も元気に自然体で☆

小渡小原販売店 戸田新聞店
代表 戸田友介
〒444-2811 豊田市太田町蟹田6番地
tel 0565-77-7648 fax 050-3488-9128

 

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