本年で6年目になる2021年度ミライの職業訓練校は、オンラインとオフラインのハイブリット開催。本講座開始の前に、校長高野雅夫、代表世話人戸田友介と、過去の受講生2人をお招きして、クロストークします。受講生には、どんな動機で参加したのか、受講の様子などをお聞きしながら、これからの社会の向き合いかたについて、ゆるやかに深めていきたいと思います。ぜひ本講座の参加もご検討ください。
【高野校長あいさつ】
新型コロナ感染拡大の第4波がやってきました。大阪では医療崩壊とも言える状況となり、1年前に心配されていたような厳しい現実が目の前に現れています。この1年で飲食、観光、交通などの業種は大きな打撃を受けました。仕事を失ったという人も多いでしょう。一方ではコロナ禍だからこそ売り上げを伸ばした業種もあります。その中に公営ギャンブルがあります。ある市の担当者から、年間売り上げが1.5倍になった、政府から10万円が配られた時に一気に伸びた、という話を聞いて私は絶句しました。コロナ禍はこれまで静かに進行していた社会の歪みや矛盾を一気に加速させ、顕在化させているという側面があります。
少し前までは、大企業に入れば定年まで安定した収入が保証され老後も安泰という「方程式」が成り立っていましたが、今はそうではありません。社会のデジタル化が急激に進み、「スマホ中毒」、「ゲーム中毒」と言われかねないような状態に誰もがなりました。個人情報が大規模に収集され、自分のうかがい知れないところで利用されるようになりました。こういうデジタル社会が私たちに将来何をもたらすのか誰もわかりません。おそらく100年後の人から見たら、現在は歴史の大変革期の真っ只中であったという認識になるのだと思います。その渦中にいる人間には全体のことはわからないので、「あれ、自分はいったい何をやってるんだろう?」と不安な気持ちになるのだと思います。
このように将来が不透明な時代にあって、どうやったら毎日を生き生きと働き暮らすことができるでしょうか。これがミライの職業訓練校(ミラ職)で参加者それぞれに答えを探してもらう課題です。正解は与えられておらず、何もお手本になるようなことはありません。どうすれば良いのか誰しもモヤモヤします。私たちはこの日々のモヤモヤこそが出発点だと考えています。モヤモヤをスルーせず、むしろ皆で語り深めていきます。そうしていると、何か自分にとっては「これかな」というものがおぼろげながら見えてきます。私たちはそれを「仮説」と呼び、その線に沿って何か小さくチャレンジをしてみます。その結果をまた持ち寄って共有します。「仮説転がし」です。そのうち「仮説」が勝手にころがるようになればしめたものです。その先に、今よりもっと自分にぴったりくる新しい働き方・暮らし方が見えてくるでしょう。
ミラ職では、「否定しない、結論を出さない」というルールのもと、誰もが安心して話せる場ができます。ミラ職の中身はひたすら仲間の話を聞く、共有することです。これまでの「正解」があてにならないとすれば、それだけ人生の自由度が増えているとも言えます。今よりもっと自由で手応えのある働き方・暮らし方をミラ職で仲間とともに探してみましょう。